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zoom RSS Andrew Chalk / Painted Screen

<<   作成日時 : 2015/02/11 11:00   >>

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最近にしては珍しく面白い体験をさせて頂いたカセットについて少し記そう。
本作はフランスの An’archives が 2014 年に出版した 4 トラックを含むカセット・アルバムである。
最初のトラックでアンドリュー・チョークと共演するのは鈴木大介・直子夫妻だ。
次のトラックにおいてはフェデリコ・デュラン (Federico Durand)。
A 面のラスト・トラックでは、鈴木夫妻と共にティモ・ファン・リュイク (Timo Van Luijk) が。
ティモは、アンドリューと共に Elodie として 4 枚のアルバムを発表して来た。
B 面を占める 1 曲ではフェデリコと共にフランシス・プラーニュ (Francis Plagne) が共演。
フェデリコとフランシスはそれぞれ 2000 年代後半から活動して来た若い作家の様だ。
そしてこれらの作品は何とも淡く、それでいてしっかりと軸の在る魅惑の音楽群と言えるだろう。

タイトルに在る ‘screen’ は映画のスクリーン、あるいはついたてなどの遮蔽板を意味するのかも知れない。
もし後者であるとすれば、タイトルは『色豊かな遮蔽板』と訳出され得るだろう。

ジャケットに描かれた鳥と背景は、カセット冒頭を飾る ’ Bird Of Paradise’ を表す様だ。
そして、このトラックはアルバムのタイトルが意味するものを良く反映していると想う。
そこには耳障りなノイズが随伴していて、最初はカセットのコピー・ミスでは無いのかなと疑った。

それには理由がある。
先行して 2012 年に出版されたヴィッキー・ジャックマン (Vikki Jackman) のアルバムを聴いてしまったことだ。
そのアルバムの英題は、“A Paper Doll's Whisper Of Spring”。

『紙人形春の囁き』とそのタイトルは和訳される。
本来は 1926 年制作の溝口健二監督によるサイレント長編映画のタイトルなのだ。
映画への造詣が深いアンドリューがこの言葉をヴィッキーに贈ったのかも知れない。

私は「楽園の鳥」を聴く時、このアルバムで繰り広げられていた演奏を記憶のどこかに鎮座させてしまったのだ。
すると、この曲に随伴するノイズを何とも異様な本当の偶発的雑音だと誤解したのである。

だがアンドリューに確認するとそれは意図して配備されたれっきとした音楽の要素だった。
それから、記憶を離れて楽音とノイズを並列させ音楽を聴く為に私は幾許かの時間を要してしまう。
面白いもので、今ではその音楽を聴いていると何とも味わいのある全体を楽しむことが出来る。
それもスピーカーでヴォリュームを絞り聴いていると、フシギで得難い音のバランスに酔ってしまうのだ。
そもそも、「自然なリスニング」とはそういうものなのかも知れない。
いつも我々は色とりどりの情報が付着する遮蔽版に遮られながら音楽を聴いている。

リスナーの意識と言えば必ずしも音楽に焦点を結ぶのでは無く、場に在るもの全体を受容しているのだろう。
そう言えばジョセフ・ハマー (Joseph Hammer) が面白いことを言っていた。
彼はオープン・リール・テープ・デッキを用いて演奏を行う。
デッキのヘッドは磁気として刻印された情報に反応する様に設計されたものだ。
だがそれは、磁気テープだけでなく周辺に存在するあらゆる電気エネルギーを拾っていると言う。
従って、これを用いる録音は必然的にフィールド・レコーディングと成ってしまうだろう。

我々も実は知らず知らずにそうして音を聴いている。
つまり、「フィールド・リスニング」を行なっているのかも知れない。
自分の内から湧いて来る様々な情報をそこに融合させながら。

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