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zoom RSS まだポケットの中に @ Karla Borecky / Still in Your Pocket

<<   作成日時 : 2011/04/29 08:00   >>

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東日本大震災の後、聴く音楽は精神を安定させながらも活性化してくれるものへとシフトした。
多分それは、自己防衛本能に基づく心身の必然的反応ではないのだろうかと想っている。
そんな作用を持つ作品の一つが、カーラ・ボレッキーの "Still in Your Pocket" だった。
このアルバム・タイトルを和訳するならば、『まだポケットの中に』 となるだろう。

さて、我々のポケットの中には今何が残っているのだろう。
カーラが爪弾くピアノの音は、鎮静と同時に隠喩を包含していると思う。
隠喩は、何か決して忘れてはならないことへの想いを促す様なポジションに在る。
「火は消えようとしているが、火種は未だ存在していますよ」 と、語りかけてくれる様に。
演奏は淡々と聞こえながら、何処かにしっかりとした決意を秘める音楽なのだ。
そして、自由かつ慎重に時間と対峙する姿勢を聴くことが出来る。

これらの特徴は、何人かのピアノ奏者が持つ資質を想起させる。
例を挙げるならアンドリュー・チョークやヴィッキー・ジャックマン、そしてロバート・ヘイだろうか。
彼らは何れも、夢幻を帯びたピアノを紡ぎながら移ろい行く音に並行する日常を想起させてくれる。
カーラが創生するピアノの音は、より少しだけ多くではあるが日常の側に存在の領域を占めている様だ。
それがゆえに却って、見ることの出来ないものを想起することを促す力に満ちているのだろう。
ちょうど、「あなたのポケットには何が残っているのかな?」 と問うかの様に。
そして、この問いかけには真摯な祈りに近い想いが込められている。
聴いていると、元居た場所に戻って行く様な感覚を覚えもする。

カーラは、米国のユニットであるアイディア・ファイア・カンパニーの核メンバーとして活動して来た。
このユニットにおいてカーラのピアノが占めるポジションは、ゆっくりと浸透する様に前面へと移行している。
彼らの再新 LP "Music from The Impassible Salon (在り得ないサロンの音楽)" は、その兆候を顕著に表す。
そのアルバムにおいて、パートナーであるスコット・フォウストとの呼応は最高潮の域に至った様だ。
西欧のコール・アンド・レスポンスを超えて、まるで彼らが嗜好する能の感覚にも近づいた様な。
ともあれ、スコットが記してくれたカーラの履歴を下に掲載しておこう。

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カーラ・ボレッキーの履歴

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カーラ・ボレッキーは、1960 年に米国ペンシルヴェニア州に在るジョンズタウンで生まれた。
17 歳までピアノを習い、後に酒場のバンドで演奏する。
その後ジョンズタウンに在るピッツバーグ大学に進学し、マサチューセッツ大学において美術修士号を取得する。

1988 年にカーラはスコット・フォウストと大学で出遭い、アイディア・ファイア・カンパニー (IFCO) を結成する。
その後 23 年の間に IFCO は 9 枚のアルバム、2 枚のシングル盤、数タイトルのライヴ CD、CD-R、
カセットを発表した。
IFCO の他にカーラが属して来たユニットには、下記のものがある。

・グレアム・ラムキンおよびスコットとのトリオ、タート (Tart)。
・マイク・ポポビッチおよびスコットとのトリオ、ザ・ピックル・ファクトリー (The Pickle Factory)。
・カーラの両親であるディヴィッド & グロリア・ボレッキーおよびスコットとの、
ザ・ニュー・ペキュリアズ (The New Peculiars)。

これらのユニットにおいてカーラは、ピアノ、数種のシンセサイザー、キーボード、アイリッシュ・ハープ、
シロフォン、トイ・ピアノ、ドラムス、その他付随的なノイズ発生物を用いている。

*

カーラは、ヴィジュアル・アーティストでもある。
その成長期において、彼女は様々美術と工芸に触れて来た。
そこに含まれるのは、日本のブラシ絵から鉤針編みまで。
そして、彼女は現在もこれら美術工芸の探究を続けている。

カーラは、スコットのレーベルである Swill Radio からの出版物多数のジャケットをデザインして来た。
彼女による絵画・アートワーク・写真は、次のアルバム・カヴァーにおいてフィーチャーされている。

タート "Radio Orange"
タート "Bring In The Admiral"
スコット・フォウスト "Jungle Fever"
RLW による一連の出版物
Pineapple Tapes のコンピレーション・カセット "Lasting"
IFCO "The Island Of Taste"

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彼女が影響を受けた源には、エリック・サティ、フレデリック・ショパン、バシリー・カンディンスキー、ルネ・マグリット、
そして日本の美学が含まれる。
カーラは、『源氏物語』 の大ファンなのだそうだ。

*

カーラは現在、夫であるスコットと 2 匹の手入れの行き届いた猫 (各々年齢が 16 歳と 20 歳となる
シュヴィッタースとムーンパイ) と共に米国マサチューセッツ州アマーストに住んでいる。

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